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どんな研究をやってるの?

 

 健康志向の高まりからタニタ食堂が話題になりましたが、スイッチング電源分野においても環境志向の高まりから、ハイブリッドカーや電気自動車などの低燃費車、太陽光発電システムなど、新たな市場へ用途が広がり始めています。

 一方、素材となる電子部品においては、次世代の半導体スイッチングデバイス(GaN)のように、超高速に動作できる半導体部品が登場し、成熟分野と言われていたスイッチング電源に新たな課題が突きつけられています。

48ボルト電源によりハイブリッドカーは安価に!

 

 Forty eight(48)というと、AKB48を思い浮かべるかもしれませんが、48ボルトのバッテリーを用いた新しいハイブリッドカーの規格「LV148」が注目されています.

 48Vのバッテリは、電動ターボやアクティブサスペンションのように車の乗り心地を改善するためにも活用できますが、安価に車をハイブリッド化できるのも利点の1つです。近い将来、この48Vが家庭内の直流配電や家庭用蓄電池の電圧として活用されたら面白いかもしれませんね。

 このシステムには、48Vのバッテリ電圧から12Vの車載補機用鉛バッテリの電圧へ変換するためのDC/DCコンバータが必要となるのですが,西嶋研究室では,(株)デンソーと共同研究を行い,効率98%以上(既存品に比べて電力損失を半減)を実現しました.

 ちなみに,(株)デンソーは,自動車部品世界シェア第1位の企業さんで,トヨタ自動車のプリウスのパワートレイン(バッテリーからモーターにエネルギーを送る装置)やスズキ自動車のマイルドハイブリッドシステムも同社の技術が活用されています.

アンカー 1
電気自動車のバッテリーを家庭やレジャーで活用しよう!

 

 太陽光発電でクリーンなエネルギーを創り,エネルギーエレクトロニクス技術で電気を効率よく活用する.近未来の社会は,エネルギーを消費する家から,エネルギーを生み出す家へ生まれ変わろうとしています.

 太陽光や風力による発電は天候によって大きく左右されるのが弱点です.そのため,発電したエネルギーをバッテリーに蓄えて,電力を総合的に無駄なく活用する技術が必要となります.発電したエネルギーを電気自動車のバッテリーに蓄えておくのも一つの方法です.太陽電池で発電した電力非常用電源として、電力のピークカットとして、レジャー中の電源として、さらには、安価な夜間電力で貯蔵して日中に利用する家庭用バッテリーとして活用できます。

 しかし,電気自動車に搭載されている充電器は充電専用なので,車と家との間を双方向にエネルギー供給することはできません.また,設置型の双方向充電器は大型で高コストです.

 西嶋研究室では、車載充電器を『双方向化』『小型・高効率化(空冷)』できる新技術を研究しています。

 エネルギーエレクトロニクス技術は,家電の電子機器に利用されるだけでなく,環境にやさしい社会をデザインする役割も担い始めました.

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超小型モビリティー用給電システム

 

 エコでお手軽な移動手段として、軽自動車より小さい自動車(超小型モビリティー)の導入に向けたガイドラインが国交省により発表されました。近い将来,超小型モビリティーが,カーシェアリング(車の共同利用)や観光地のレンタカーなどに活用されるかもしれません.自動運転技術が確立されれば,家にマイカーがなくても,必要な時に呼べば,お手軽に移動できるタクシーとしての活用が進むでしょう.

 本研究室では、超小型モビリティーの中に搭載される充電器の開発を行っています。さらに、駐車場に停めただけで、コンセントを刺さなくても充電できる、コードレス(非接触)充電システムについても研究を行っています。

 自宅だけでなく、ショッピングモールやコンビニに駐車しただけで、買い物をしている間に充電できていると便利ですよね。

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便利でエコな直流コンセント

 

 100年以上前のことです.発明王エジソンは,電力を『直流』で送ること,すなわち『直流給電』を提唱したのですが,その当時の技術では『直流』よりも『交流』で電力を送る方が簡単だったので,コンセントには交流が採用されました.しかし,家電品の中のほとんどの部品は直流で動いていていますし,太陽光発電システムで発電されるのも直流です.

 研究室では、現在の家庭で使われている交流(AC)100Vのコンセントに加えて、直流(DC)48V~5Vを家電品に供給するシステムの開発を行っています。直流化が実現できれば、家電品を省エネ化できるだけでなく、ノートパソコンやスマートフォン等をACアダプタを使うことなく充電できるようになりますので,旅行や出張時の荷物を減らすことができます.また,ACアダプタを買わなくてもよくなるので,年間50万トンといわれるACアダプタの廃棄量を減らすことができますし,家電品の中に入っているAC電源回路をなくすこともできるので,家電品を安く作ることもできるようになります.

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ノートパソコンやスマホを充電できる小型ACアダプター

 

ノートパソコンを持ち運ぶ時に,ACアダプタが邪魔だな~と不便に感じませんか?

 研究室では、ACアダプタのサイズや重さを従来の半分以下にできる技術を企業さんと共同研究中です。このアダプタは、スマホやタブレットPCの充電にも使えるので便利です.

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​次世代コンピュータのCPUに対応できる電源

 パソコンやスマホなどの『頭脳』にあたるのが『LSI』や『CPU』とよばれる集積回路部品です.パソコンのCPUは,乾電池の電圧である1.2ボルト~1.5ボルトの電圧より低い電圧で動作しているのですが,消費する電流は,乾電池100本分に相当するような電流を瞬間的に消費するため,このように低電圧大電流を瞬時に供給できる電源が必要です.

​ 研究室で考案した新しい回路方式(特許 2005-008336)は,業界最高の電力密度を誇る電源として,2016年に半導体部品メーカーより製品化されました.

​  https://www.fujiele.co.jp/makernews/2016/14056/

 また,NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)マッチングファンド事業として,TDKラムダ(株)と取り組んだ高降圧比電源は,48ボルト配電のマイルドハイブリッドカーや24ボルト配電の産業機器への活用が期待できます.

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​バッテリーマネージメントシステム

 バッテリーは、ノートパソコン、電気自動車、太陽光発電システムなど様々な分野に利用されていますが,用途に応じて複数のバッテリーセルが直列接続されています.しかし,これらのバッテリーセルの特性にばらつきがあると,ムカデ競争で足並みが揃わずにコケてしまうように,特性の劣っているバッテリーセルに負担が集中し,バッテリーが早期に劣化したり,最悪の場合には,破裂・発火の危険性も生じます.スマートフォンの発火のニュースを時々耳にしますが,バッテリーは,ちゃんと管理をしてあげなければ燃える危険性があるのです.

 研究室では、バッテリーに電子回路を取り付けることで、バッテリーセルの特性にばらつきがあったとしても,バッテリーのの潜在能力を最大限に引き出すことのできるバッテリーマネージメントシステムの研究を行っています。

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次世代パワー半導体デバイス(GaN)の高速駆動技術

 スイッチング電源では,半導体でできたスイッチ素子を1秒間に100万回以上高速にオン・オフさせています.このスイッチ素子には,これまでシリコンでできた半導体が用いられてきたのですが,近年,ガリウムひ素(GaN)でできた次世代のスイッチ素子が登場し,スイッチング電源の飛躍的な高性能化に期待が寄せられています.

 しかし,GaNデバイスを1秒間に1億回以上の超高速でスイッチングしようとすると,回路内の理想的ではない特性の影響で誤動作が生じてしまう問題があります.

​ そこで,研究室では,無線通信用に使われている部品(チューナブルキャパシタ)をGaNデバイスの駆動に活用することで,GaNデバイスの高速駆動を実現する研究を行っています.

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​高電力密度電圧変換チップ

 スイッチング電源をぎゅぎゅぎゅっと小さくするには,どうしたらよいのでしょうか?そのためには,電源回路技術,制御技術,電源部品の最適設計技術,部品用材料の開発,実装技術,放熱技術など,様々な技術が必要となります.

​ 研究室では,これらの技術を持つ企業さんと連携して,チップ状の高密度実装された電圧変換回路を実現するための研究を行っています.

アンカー 9
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